
シリコンカーバイド:特集:主流になりつつある半導体
シリコンチップはほぼすべての電子製品に組み込まれていますが、用途によってはシリコンチップを超える効率が求められます。その中で、シリコンカーバイド(SiC)チップがシリコンに代わる高性能な選択肢として普及しています。VATの真空ソリューションにより、さらに多くの用途でSiCチップの持続可能な利用が実現されています。(読了目安:約2分)
ELENA(エレナ)―この可愛らしい名前は、超低速反陽子リング(Extra Low ENergy Antiproton Deceleration Ring)の略です。これは CERN にある幅 30 m の減速リングで、既存のCERN反陽子減速器から放出される5.3MeVの反陽子を0.1MeVまで減速させます。これにより「ペニングトラップ」で反陽子を捕獲し、陽電子と結合させて反水素を形成することなどが可能となります。
高温や放射線の動作条件下でも機能を完全に維持できるVATのオールメタル真空バルブ技術は、ここでも重要な役割を果たしています。そのダイナミックなハード・オン・ハード・シーリング技術により、オールメタルデザインと、XHV条件下での再現可能な気密封止の両立を実現しています。
反水素原子を研究する
ELENAの主な目的は、反物質をできるだけ長く存続させることです。現在のところ、ELENAの減速プロセスに従ったトラップでは、反物質の寿命が15分~1年間となっており、大きな成功を収めています。しかし、いわゆるクライオトラップ(クライオスタットを搭載した持ち運び可能なトラップで、最大圧力は10~18mbar)で反物質を閉じ込める試みも、ELENAの重要な課題です(詳細はPUMA実験を参照)。
反物質の寿命が極めて短いことを考えると、ELENAシステムでは幅広い特殊バルブや真空技術の特徴を検討する必要があります。例えば、減速リングの入口や出口はすべてメタルシールで完全密封し、必要な圧力とアウトガス値を維持する必要があります。そこでVATは、実績あるオールメタルバルブのVATシリーズ48などを通して、長年のXHVに関するノウハウを大いに発揮しています。
CERNの研究者たちが抱える課題は他にもあります。それは、反水素原子を分光学的に研究し、物質と反物質に対する重力の影響を比較することです。いわゆるGBAR(Gravitational Behavior of Antimatter at Rest)実験では、ELENAを利用して生産される電気的に中性の反水素原子を20センチの高さから落下させ、消滅するまでの落下過程を記録します。調査対象の反原子を可能な限り「静止」させることができるELENAの優れた能力により、GBARの研究者たちは、比較的弱い重力に対する物質と反物質の挙動のわずかな違いさえも、検出できると確信しています。
2018年10月、GBARにELENAからの最初の反陽子ビームが届きました。それ以来、宇宙における物質と反物質の分布の非対称性をめぐる大きな謎の解明に少しでも近づくため、科学者たちは研究結果の研究に勤しんでいます。そしてここでも、VATのオールメタル真空バルブ技術が活躍しています。